セロトニンに関わる薬剤

うつを治すために医師に相談すると、薬による治療をすすめられることがあります。投薬治療で使われる薬には、どのような作用があるのでしょうか。ここでは、うつ病の投薬治療に使われる「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)」や「SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)」などについて解説しています。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)

脳内のセロトニン濃度を高めることで、うつの改善を目指す治療薬です。うつ病治療のほか、強迫性障害、社会不安障害、パニック障害、外傷後ストレス障害に適応する製剤もあります。

セロトニンが脳の神経回路「シナプス」に放出されると、セロトニン受容体というところにたどり着きます。ところが、一部のセロトニンは「セロトニン受容体」が受け取れきれず、シナプスの周辺にただよってしまいます。
すると、残ったセロトニンの一部は分解され、一部は「セロトニントランスポーター」に回収されて運ばれ、再利用のために神経終末へ取り込まれようとします。そのセロトニントランスポーターの働きを阻害するのがSSRIです。再取り込みを阻害することでシナプスのすき間のセロトニン濃度を上昇させ、神経伝達をスムーズにして抗うつ作用をもたらします。

SSRIを服用すると不安を落ち着かせ、落ち込んだ気持ちを明るくします。
1980年代に登場して以降、アメリカでは「ハッピードラッグ」として広く出回るようになりましたが、手に入りやすい反面、乱用ともいえる服用や離脱症状による影響が問題になっています。

フルボキサミン(デプロメール、ルボックス)

「デプロメール」「ルボックス」「フルボキサミンマレイン酸塩錠」といった商品名で処方されています。日本ではじめて発売されたSSRIで、フルボキサミンというのは一般名です。うつ病の中でも、特に不安感の強い方に処方されることが多く、強迫性障害や社交不安障害と診断された方にも適応があります。
服用すると、不安な気持ちを落ち着かせます。主に吐き気や頭痛、眠気といった副作用がありますが、飲み続けると副作用が消えることもあります。

フルオキセチン(プロザック)

1988年、アメリカではじめて承認された「プロザック」が代表的。フルオキセチンとは一般名で、ジェネリック医薬品も多く販売されています。脳内のセロトニン濃度を高めることで、不安な気持ちや落ち込んだ気持ちを改善します。抗うつ剤のような重い副作用はありませんが、個人によって消化器系や神経系、性機能に副作用があらわれます。発症はまれですが、不安やイライラ、興奮などの症状があらわれる「セロトニン症候群」のリスクもあります。他のSSRIに比べて離脱症状が起きにくいとされていますが、急に服用を減らしたりやめたりすると、頻脈やめまい、頭痛などの症状が起きる可能性があります。

パロキセチン

パロキセチンは、パキシルのジェネリック医薬品として登場した抗うつ剤です。SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬と称される種類の薬で、セロトニンを増やす働きをします。気分に関係する神経伝達物質に作用し、分泌を正常名状態に戻すことで、不安などのうつ状態の改善を図ります。主にうつ病患者に処方されることが多いですが、他にも適応障害や自立神経失調症など、あらゆる不安障害に処方されることも。1日1回の服用で充分なほど、効き目が高い薬として知られています。SSRIの薬の中では比較的副作用が少ないのも特徴です。

SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)

ここでは「SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)」に分類される薬剤について解説しています。

ベンラファキシン

不安や落ち込みを軽減する効果があるベンラファキシン。日本で3番目に発売された抗うつ剤で、海外では日本よりも簡単に手に入れられる薬です。ベンラファキシンはSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)と呼ばれる薬の一種で、セロトニンを中心に作用しつつ、ノルアドレナリンにも働きかけます。セロトニンを増加させることで気分の落ち込みや不安を改善。ノルアドレナリンを増やすことで意欲の高まりが見込めます。ノルアドレナリンの効果は服用している薬の量によって異なり、薬の量が増えるほど強く働くのが特徴。うつ状態の患者に処方されるのが一般的なベンラファキシンですが、注意欠落障害(SDHD)の治療や更年期障害の改善にも効果があるという報告もあります。