8.ふれ合い(グルーミング)

生活習慣のなかでセロトニンを活性化させる方法のひとつに、グルーミングがあります。ここでは、グルーミングの種類やなぜグルーミングがセロトニンを増やすのか、エビデンスを交えて解説しています。今すぐできる方法もあるのでぜひ参考にしてみてください。

ふれ合い(グルーミング)とは

グルーミングとは、簡単に言うと「他者とのスキンシップ」です。直訳すると「毛づくろい」で、動物が体をキレイにしたり機能を保ったりすることを指す言葉としてなじみがありますが、脳科学の世界では人間同士、人間と動物とのふれ合いもグルーミングと呼びます。

ふれ合い(グルーミング)による効果とは

動物や子どもとふれ合っているとき、安らかで何だか幸せな気持ちに包まれたことがある、という人は多いのではないでしょうか。
これは、グルーミングによって「オキシトシン」という脳内ホルモンが分泌されることにより起こるとされています。オキシトシンは別名「愛情ホルモン」とも呼ばれており、十分に分泌されている状態になると愛情で心が満たされ、幸福感を得られるとされています。
毎日10~30分のグルーミングを行うだけで、以下のような効果が生まれます。

ふれ合い(グルーミング)にあたる行動

人とのふれ合い

家族や夫婦、恋人同士といった、信頼できる関係とのふれ合いやスキンシップがグルーミングにあたります。肌と肌が直接ふれ合う以外にも、家族団らんや一緒に過ごす時間もグルーミングのひとつです。
また、家族や恋人同士でなくても、友人や会社の同僚など仲の良い人との会食やおしゃべりも、脳科学的にはグルーミングに含まれるとされています。
毎日継続することでオキシトシンの分泌が促され、ストレスが緩和され心身のバランスが整うでしょう。

「人に親切にする」もグルーミングのひとつ

相手を思いやり、分かりたいという気持ちを持つこともグルーミングのうちに入ります。
オキシトシンは愛情ホルモンのほか「思いやりホルモン」とも呼ばれていて、電車で席を譲ったりドアを開けてあげたりといった親切な行動でも分泌されるのです。
また、常に周りへの感謝の気持ちを忘れず、「ありがとう」という言葉を積極的に使うとより効果が高まります。
「人のためが自分のためになる」とよく言われるように、日常生活の中で親切な行動を心がけるにより、心と心の結びつきを感じたときにオキシトシンが分泌され、心のバランスを整えることにつながるのです。

ペットや動物とのふれ合い

犬や猫など、ペットや動物とのふれ合いでもオキシトシンが分泌されます。猫カフェやアニマルカフェが人気なのも、動物とのふれ合いによってオキシトシンが分泌され、癒しの効果をもたらしているからと言えるでしょう。
とくにペットを飼うとふれ合いの時間が増えるのはもちろん、笑いや笑顔になれる時間が生まれ、心が穏やかになります。犬を飼えば運動する時間が増えて、心身のバランスがより整いやすくなるでしょう。

動物とのふれ合いを活かしたセラピー

ペットとのふれ合いが人間に与える効果は大きいとされており、最近では、動物による癒し効果を活かした「アニマルセラピー」が医療の分野でも注目されています。
犬や猫をはじめ、乗馬も体のリハビリや神経障害の治療などに活かされているほどです。
アニマルセラピーの作用機序は「動物の直接的な効果」かどうかの正確な判断がつきにくいためまだ不明な部分も多いものの、人間の脳に作用してオキシトシン分泌が促されることは明らかになっています。人とペットとのグルーミングが、幸福度の向上につながっていると考えることができるでしょう。

マッサージ

肌と肌のスキンシップが生まれるマッサージでもオキシトシンが分泌され、グルーミング効果があらわれるとされています。
すべてのマッサージでオキシトシンが分泌されるのは確認されていませんが、なでる・さするなど、痛みがなく心地良いと感じるレベルの「マニピュレーション」は、オキシトシンを分泌させることが分かっています。
このことは、セロトニン活性療法協会の代表理事である滝本氏の研究において、エビデンスが公表されています。

参照元:セロトニン神経活性化の臨床的評価:脳波α2成分の発現
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/islis/34/1/34_73/_article/-char/ja/)

エステ

エステティックサロンでのマッサージもグルーミングに入ります。
信頼できるエステシシャンによる気持ちの良いエステで癒されることでもオキシトシンの分泌量が増加。オキシトシンが活性化することで他のホルモンバランスも整っていきます。
リラックス効果も生まれるため、ストレス軽減にもつながるでしょう。
また、マッサージを受けるだけでなく、施術する側の脳内でもオキシトシンが出ていることが分かっています。
これは「思いやり」によって分泌されるオキシトシンにもつながっています。

整体・鍼灸マッサージ

エステでのマッサージ同様、整体やカイロプラクティックでのマッサージも効果的です。
凝り固まった筋肉や関節を心地良くマッサージしながらほぐすことでオキシトシンが分泌されます。
また、ツボを刺激する鍼灸マッサージには血流を増加させ、免疫を活性化させる効果もあります。
ツボの刺激で脳や自律神経の働きに変化が起き、脳の下垂体で産生されることでオキシトシンの分泌が促進されると言われています。
その中でも、なでる・さするなど、痛みがなく心地良いと感じるレベルの「マニピュレーション」を主とする『セロトニン活性療法』は、オキシトシンが分泌されることを学会で発表した整体です。
ただし、信頼関係が築けることが重要なため、信頼できる施術者を探すことが第一条件です。

参照元:セロトニン活性療法協会「セロトニン活性療法が健常成人の唾液中のセロトニン分泌に与える影響」(https://serotonin-kyoukai.com/lp-tfclab02/)

愛情ホルモン「オキシトシン」がカギ

グルーミングによってストレスが軽減したり幸福感が高まったりするのは、脳内ホルモンのひとつである「オキシトシン」が分泌されるからです。
オキシトシンは、幸福感ややる気をもたらす別の脳内ホルモン「セロトニン」と深く関わり合っています。

セロトニンが活性化する

オキシトシンの受容体はセロトニンの神経細胞にあり、セロトニンが分泌される神経に影響を与えています。
そのため、オキシトシンが増えることによってセロトニンが活性化する効果が生まれます。
脳内にオキシトシンとセロトニンの両方が十分に満たされていると、脳の疲労が癒されやすくなり、気分も安定。感情コントロールがしやすくなり、前向きな気持ちになってストレスにも強くなります。

ふれ合い(グルーミング)に関する研究

近年、グルーミングによって脳内のセロトニンが活性する研究がすすみ、多くのエビデンスが発表されています。

セロトニンの基礎研究としてラットを用いた研究では、自発的・誘発的にグルーミングを行ったラットとストレス負荷をかけた後にグルーミングしたラットを比べたところ、ストレス負荷をかけたラットのほうが、長時間グルーミングを行ったという結果になりました。また、どちらのラットも、グルーミングを行った後はセロトニンの分泌が増加したことが観察されました。
この結果から、ラットはストレスを感じたときにセロトニン量をより多く分泌させようと普段よりも長時間のグルーミングで対処したと言え、ストレスの軽減にはグルーミングが有効であるということがうかがえます。

参照元:CiNii「セルフケアの神経機構:グルーミングにおけるラット前頭前野のセロトニン・ドーパミン動態」(https://ci.nii.ac.jp/naid/120006400296/)